COLUMN

地域資源を活用したビジネス創出と今後の展開について

【アイキャッチ画像】浦添市の魅力 ~集落地域の現状~

1.地域産業資源の活用等によるビジネス創出

 これまで地域活性の切り札として、地域特有の資源を活用したビジネス創出と今後の展開について模索されてきました。地域資源を活用することで当該地域の活性化はもとより、複数の要素を掛け合わせることで周辺地域の経済活動も活発化することが期待されています。その為には、まず地域が保有する自然や文化等の資源を再認識し、それらをどのように活用すべきか検討する必要があります。
 これまで行政などもさまざまな支援を行っており、たとえば、県内の中小企業者等が単独または複数で、沖縄県が指定する地域産業資源を活用した事業計画を策定・申請し、国の認定を受けることで、試作品や販路開拓などに対する補助や設備投資への減税などの支援を受けられる仕組みも整備させています。ちなみに、沖縄県ウェブサイト(注1)などを参照すると、沖縄県内における地域産業資源数は、シークヮーサーやマンゴー等の「農林水産物」で43件、織物、陶磁器等の「鉱工業品」で36件、琉球王国のグスク及び関連遺産群等の「観光資源」で176件と合計で255件(2016年12月現在)となっています。
また、関連したウェブ上(注2)で、地域産業資源を活用した事業者による事業計画情報なども公表されており、地域資源を活用した新たなビジネス創造の着想に参考になることでしょう。

(注1)沖縄県の地域産業資源について/沖縄県ウェブサイ:
http://www.pref.okinawa.jp/site/shoko/keiei/tiikisigenkatuyousokusintorikumijouhousaito.html

(注2)※地域産業資源活用チャンネル(沖縄県)/J-Net21中小企業ビジネス支援サイト
http://j-net21.smrj.go.jp/expand/shigen/MTninteiKeikaku/okinawa/index.html
 

 

2.浦添市での取組

 浦添市では、商工会議所の主催により、養蚕絹織物製品とそこから派生し誕生した商品などを中心とした「うらそえ島桑フェア&浦添物産展」が毎年行われています。同イベントでは、市内に隠れた魅力を域外へ発信することで知名度の向上を図るべく、古くから自生していた島桑(シマグワ)(注3)を養蚕で活用したかりゆしウェアやショール、ネクタイなどの「うらそえ織」と、島桑の葉などを活用した茶葉、さらには実なども含めて食材へ展開することで、新たな特産品としての情報発信を行いつつ、地域資源を活用したビジネス創出と地域の活性化へ繋がる取組を継続的に行っています。

(注3)浦添シマグワへの取組・浦添桑菓選ウェブサイト/浦添商工会所
http://soukasen.jp/shimaguwa.html
 

 

3.沖縄全体を取り巻く環境

 各地域で地域資源などを活用したビジネス創出を行われている中、沖縄を取り巻く環境と今後進むべき方向性などについて少し整理してみましょう。
 沖縄県では、アジア経済戦略構想で掲げるように国内における人口減少社会を背景として海外展開へのアプローチを進化させ、沖縄県内のみならず、国内をも含めた経済発展のあり方を目指した取組が行われています。また、増勢する観光需要が県内を消費地とすることで、その消費効果が観光関連産業のみならず、他の産業へも波及しています。さらに、物産と観光との相乗効果が期待される展示会・見本市ビジネスも注目されており、沖縄を拠点とし、県内事業者のみならず、国内・海外からの参加者が集うことで、ビジネスシーンの創出、アフターコンベンションなども包含したMICE振興戦略にも寄与することが期待されています。
 これらの事象は、ややマクロ的な内容となっていますが、地元資源を活用したビジネス創出と今後の展開を見据えた場合、アプローチの仕方によりプラス作用する、追う風となる可能性を秘めています。

 ① 沖縄が進むべき方向性(アジア経済戦略構想)
 ② 県産品販路拡大のあり方(モノの流れの強化)
 ③ 好調な観光(ヒトの流れが活発化)
 ④ 新たに稼ぐ力と期待される展示会ビジネス(ヒト・モノ・情報の流れを強化)


各①〜④事象の概要は以下のとおりです。

① 沖縄が進むべき方向性(アジア経済戦略構想)
 本県において、アジア経済戦略構想が策定されおり、沖縄21世紀ビジョン関連施策を補完・強化、促進しながら、比較優位・発展可能性を高めつつ、アジアのダイナミズムを取り込み、沖縄の発展を加速させるための戦略を打ち出しています。
 その背景として、人口が減少に転じた日本経済においては、国内市場に依存していたのでは縮小を余儀なくされ、成長著しいアジアを始め海外に市場を求めて展開せざるを得ない状況にあり、もはや経済や社会の枠組みが「アジア規模」でなければ成り立たなくなっているからです。アジアをはじめとする海外への展開・交流、ネットワークの構築等、アジアのダイナミズムの取り込み、県内のみならず国内経済の発展につなげることが求められています。
② 県産品販路拡大のあり方(モノ流れの強化)
これまで官民を挙げたさまざまな沖縄県産品の販路拡大に向けた取組が行われており、海外市場を意識した各種商談会を継続させ、県内企業がアジア・ASEANなどの市場へアクセスする動きを強化しています。近年、沖縄大交易会の開催などを通じて、国内各地域における特産品とともに海外の旺盛な需要を取り込むための仕組みづくりが行われています。
③ 好調な観光(ヒトの流れが活発化)
 沖縄への入域観光客数は、右肩上がりで推移し2016年度では876万9,200人と過去最高を記録した。その中でも海外から入域が212万9,100万人と全体の伸びに寄与しています。ちなみに、外国人観光客の比率をみると、2012年度の約6.5%と一桁台だったものが16年度では212万9,100人まで増加して約24.3%を占めています。
 観光収入についてみると、観光入域客数の伸びとともに増大し、16年度の6,602億円9,400万円となっています。また、一人当たりの県内消費額は7万5,297円と金額の大きい順に宿泊費が22,766円(30.2%)、飲食費が16,711円(22.2%)、土産・買物費が16,436円、(21.8%)、県内交通費が10,350円(13.6%)、娯楽・入場費が6,667円(9.2%)となっています。
観光関連の市場規模としては、公表している数値を用いて単純計算すると、県内で飲食に充てられる分は約1,452億6,500万円、土産購入などで約1,439億4,400万円、観光施設周遊や各種体験サービスなどで約607億4,700万円となっています。
④ 新たに稼ぐ力と期待される展示会ビジネス(ヒト・モノ・情報の流れを強化)
 展示会・見本市などの商談会は、集客効果が高く、「ヒト・モノ・情報」の交流を促進することなどから、新たなビジネス創出につながり、地元のみならず国内経済においても波及効果をもたらすことが期待されています。また、観光の観点からもアフターコンベンションなど国内外からの誘客獲得するための重要な手段としても捉えられています。
沖縄でも日本全国の特産品等の海外販路拡大に資することを目的に沖縄大交易会が開催され、国際的なビジネス交流場として地位の確立を目指しています。


 

4.まとめ(今後、求められること)

 これまで各地域における特産品などを活用したビジネス創出に関しては、事業者による創意工夫などの取組が継続される中、行政などによる各種支援なども加わり、事業者や地域にとってある一定の効果があったといえます。ただ、このところの海外からの入域観光客が激増したことで、県内を消費地とする飲食(場合により土産品なども)や娯楽サービスなどへの需要が拡大し、さらにスマートフォンなどを活用した旅行形態の変化などで、多様なニーズへの対応と情報発信のあり方を模索する必要があります。 そのような中で、地域として他との差別化を図るために、独自の特性(隠れた魅力)を付加させ、如何にキャッチしてもらうが重要となってきます。
 たとえば、消費者が健康志向や美容に対して感心がある場合には、成分表示やストーリー性などの情報を付加した上で、訴えかけていたはずです。しかし、これからは消費者の志向・嗜好・感性(文化的な背景など含む)をベースとしつつも、フォトジェニックな空間の創造(提供)などを意識したデザイン性、さらには商品・サービス購入しやすい環境(支払決済の方法など)の整備も念頭に置きながら、さまざまな工夫を凝らしていく必要があります。