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継続的な地域振興に向けて必要なこと (地域の魅力)

【アイキャッチ画像】浦添市の魅力 ~集落地域の現状~

 

 

 本コラムでは、既存の調査結果などを踏まえつつ、事業所の開廃状況(地域における新陳代謝の状況)、開業の動機などに関する現状を概観した上で、浦添市におけるスタートアップ(起業)促進と地域振興のあり方などについて整理したいと思います。

○浦添市での開廃業について(浦添市の相対的な位置づけ)

 まず、本県における開業や廃業の状況をみると、開業率(4.0%)、廃業率(6.6%)はともに全国値を上回っています。下図表で示すとおり、全国値を基準として開業率や廃業率の状況を4つのエリアに区分すると、沖縄は全国より開業率と廃業率がともに高い「多産多死エリア」にプロットされていることがわかります。このエリアには「東京都」や「大阪府」、「神奈川県」、「福岡県」などの国内の都市圏がプロットされており、都市機能の面から経済活動が活発化している「新陳代謝の多い」地域と捉えられる一方、地方経済の側面からは経済活動に継続性に乏しい地域とも捉えられがちです。

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 続いて、県内の市町村別において、開業率および廃業率の沖縄県全体値をベースにみると、浦添市は開業率が相対的に高く、廃業率が相対的に低い「多産少死エリア」にプロットされています。県内での経済活動の場としては、安定性があり活性化している地域として捉えられます。これは市内にある大規模事業所の集積や景気などに左右されにくい医療・保険関連業種の存在など、安定性のある産業構造を有していることなどが考えられます。
 しかしながら、今後は人口動態の波やテクノロジー進化の波などの影響により、各地方自治体をとりまく環境が劇的に変化する可能性があることから、あらゆる面で国内他地域のみならず、世界各地域との競争にさらされるかもしれません。ちなみに、浦添市の開廃業率を全国値のそれと比べると、いずれの数値も高くなっており、全国ベースだと「多産多死エリア」に属することになることから、事業所の開業率のさらなる向上と廃業の「多死」から「少死」構造へシフトさせるべく、中長期的な観点で県内他市町村のみならず国内他地域との比較優位点などを精査していく必要があります。(本来なら単に数値的な比較だけでなく、事業所規模の大小、業種業態の分布状況などの産業構造の特徴などを考慮した質的な比較分析が必要ですが、今回は概観のみ)

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 開業率の向上においては、多様な人材による多種(業種)形態のスタートアップ(再チャレンジも含む)をより多く発生させるか、また、既存事業所とどのようにキャッチアップさせていくのか、などの視点が必要となってきます。さらに、これから本県にも到来する人口減少社会(人口動態の波)を見据えると、ビジネスの主体(働き手)の拡大やビジネス形態(働き方)の柔軟性がより一層求められてくるかと思います。

○開業の動機に関する整理

 ここからは、沖縄公庫レポートにおいて、(同行の)取引先の状況を参照しながら、沖縄と全国の新規開業の動機などに関して、本県の特徴を整理していきましょう。(本件は、アンケート結果のポイント差を取ることで、それぞれの特徴を捉えやすく加工した)まず、「開業の動機」については、本県の特徴として「自分の技術やアイデアを事業化したかった」が相対的に高くなっています。(図表内のオレンジ枠が本県の特徴となっている)

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 参考までに、同質問における全国の男女別での特徴をみると、男性は「事業経営という仕事に興味があった」が相対的(女性に比べて)に高く、女性は「年齢や性別に関係なく仕事がしたかった」が高くなっています。

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 次に、県内の男女別での特徴をみると、男性は「仕事の経験・知識や資格を活かしたかった」が相対的(女性に比べて)に高いのに対して、女性は「収入を増やしたかった」が高くなっています。

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 さらに、県内での年齢階層別での特徴(若年層・シニア層)をみると、若年層では「自分の技術やアイデアを事業化したかった」が多く、シニア層では「社会の役に立つ仕事がしたかった」が多くなっています。

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 これからは、その地域で生み出せるものに、異質文化による「才能」を結びつけた独創性を生むことで、当該地域の振興のみならず周辺地域へ波及させていくことが求められています。地域の産業構造においても、人口動態やテクノロジー進化の波などから、サービス産業へ経済の重点がシフトしており、今後はさらにクリエイティブ要素の多い産業創出や集積が求められています。

 このような状況下、各地域においては、「多彩な人材をいかに多く惹きつけられるか」、「多様な働き方をいかに促進させるか」など、地域住民・企業・行政が一体となった環境整備とその実現に向けた柔軟かつ大胆な取組が求められます。職業感や就業感に関する選択肢の幅を最大限に広げることで、スタートアップ(起業)の機会なども創出されることになり、他地域からの交流人口の増大も期待されます。